Trick Cat


日も沈んだばかりの頃、黒澤は気だるそうに自室に向かって廊下を歩いていた。
「あー…何かだりぃなぁ。メシの時間まで一眠りすっかな」
頭をボリボリと掻きながら、自室のドアに手をかけ中に入ろうとしたその瞬間、
「にゃあv」
「わーっ!?」
いきなりドアが開き、自分の部屋にいるはずのない名波が目の前に現れ、思わず叫び声をあげてしまった。
「アハハ、ビビッてやんのー」
「な、名波!! お前、人の部屋に勝手に入って何やってんだよ!! ん?」
勝手に部屋に入られ、驚かされて笑われたのが癇に触ったのか、黒澤は咄嗟に名波の胸倉を掴む。
しかし、目の前の名波に何か違和感を感じ、手を離して頭のてっぺんからつま先まで舐めるように視線を走らせた。
「ネコ耳…」
名波の頭には本来あるはずのない、黒いネコの耳が生えていた。
一瞬思考が停止して、固まってしまう。
「あ、これ?」
黒澤の視線に気付き、名波はネコ耳をふにふにと触ってみせる。
「もうすぐハロウィンだろ? ハロウィンの日ってさ、学校開放してちょっとしたお祭りやるじゃん。大鍋でかぼちゃスープ作って町の人達に振る舞ったりとかさ。今年は鹿中生徒が仮装する事になったらしくて、『シュバルツ・カッツは黒猫だからこれ付けて』って新藤に渡されたんだよ。あ、これ黒澤と城の分ね」
固まっている黒澤に早口で一気に言うと、ネコ耳カチューシャ&しっぽの仮装セットを二人分差し出した。
「くだらねぇ、そんなんつけられっかよ」
差し出された仮装セットを受け取り一瞥すると、その辺にポイ、と放り投げた。
「えー、でもこれ結構いいじゃん。ハロウィンなんだしさー。ほら、しっぽしっぽv」
名波は楽しそうに笑いながら黒澤に背を向け、軽くおしりを突き出し、しっぽを握ってパタパタと振ってみせる。
そんな名波をぼーっと見つめる黒澤。
「……………ヤバい。今のはかなりキタかも。ヤバい、ヤバい、ヤバいってそれは」
「ん? 何がヤバいんだよ」
いきなり下を向いてブツブツ呟き始めた黒澤を不思議に思いつつも、ネコ耳としっぽが気に入ったのか、名波は壁際に置いてある姿身に自分を映して、しっぽを握ったままくるくると回っている。
「………名波」
黒澤は姿見の前ではしゃいでいる名波の肩にポン、と手を置いた。
「何だよ、黒澤。お前さっきから変だぞ」
「まぁまぁ…」
爽やかな笑顔を浮かべながら、黒澤は名波の肩を掴んだまま歩を進める。
「ちょ…何す…離せ…」
ズルズルと引き摺られ、ようやく身の危険を感じた名波は黒澤から逃れようとしたが、既に遅かった。
「お前は何て可愛い奴なんだ、コンチクショー!!」
「わーっ!?」
予想通りベッドに押し倒され、名波は黒澤の下で必死にもがいた。
「何いきなり発情してんだお前はー!!」
脳天目掛けてチョップを繰り出すが、スイッチが入ってしまった黒澤はそれくらいでは止まらなかった。
「俺を挑発したお前が悪い…大人しく喰われろ」
「誰が大人しく喰われるか! それに俺は挑発なんかしてねぇ!!」
「そんなカッコで俺にケツ突き出すなんて、喰って下さいって言ってるようなモンなんだよ」
「う…」
調子に乗っていたとはいえ、自分の行動を思い返してみると確かに黒澤を欲情させるには十分過ぎる程の事をしたような気がする。
しかし、自分にも非があるとはいえ、このまま大人しく黒澤に喰われるのは男としてのプライドが許さなかった。
「で、でもっ…もうすぐメシの時間だしっ…」
「一回くらい出来るだろ」
「でもでもっ…城が帰ってきたらどうすんだよっ!」
「あ、城の奴用事があるからって出かけててさ、メシの時間に間に合わないかもって言ってたぜ」
「う〜…」
何を言ってもことごとくかわされ、名波は必死に別の言い訳を考えた。
黒澤はそんな名波の顎を掴んでムリヤリ上を向かせると、荒々しく唇を重ねてきた。
「んっ…」
噛み付くようなキスを何度も受けて、不覚にも体が熱くなってしまう。
名波があまり抵抗しないのをいい事に、黒澤の舌が唇を割って口内に侵入してきた。
焦った名波は黒澤の両肩を掴んで引き剥がそうとするが、口内を舌でぐちゃぐちゃに掻き回されたり、奥に引っ込めていた舌を絡め取られキツく吸われたりすると体に力が入らなくなり、いつの間にか黒澤のなすがままになっていた。
チュウッと強めに舌を吸い上げてから唇を離すと、名波は口の端からどちらともつかない唾液を垂らしながら、朦朧とした目で黒澤を見つめていた。
今の激しいキスで名波の目はすっかり潤んでしまっている。
あともう一押し。
そう確信した黒澤は、名波の体を優しく抱き締め、髪を掻き分けて耳元に唇を寄せた。
「ヤろうぜ…順」
掠れた声で名前を呼ばれ、ゾクゾクとした快感が体中を駆け巡る。
そんな名波の胸の内を知ってか知らずか、黒澤は耳の形をなぞるようにペロリと舐め上げた。
名波の体がブルブルッと震える。
「…黒澤」
「ん?」
「一回…だけだからな」
ちょっと拗ねたように言って、すぐに黒澤から視線を逸らす。
「分かった。今日は、一回だけな」
黒澤は『今日は』を強調して言い、ニッと笑うと再び名波に口付けた。
その気にさせるのは毎回苦労するのだが、名波もセックスは嫌いじゃないのでノッてくれば今までの態度が嘘のように従順になる。
名波は黒澤の頭に両手を回すと、口内に侵入してきた舌に自ら舌を絡めた。
激しく舌を擦り合わせ、くちゅ、ぬっちゅ、と淫らな水音を立てながら互いの唾液を交換し合う。
唇を離すと、つぅーっと唾液の糸が引く。
切れずにいつまでも二人の唇を繋いでいる光の糸が、今のキスの濃厚さを物語っていた。
黒澤はそれを舌先で舐め取ると、舌を出したまま名波に顔を近付け、薄らと朱に染まっている頬をペロンと舐めた。
そのままもう片方の頬や顎をペロペロと舐めていく。
黒澤は舐める愛撫を好むようで、名波はセックスの度にあちこち舐め回された。
舐められると後から臭くなるし、最初の頃はあまり気持ち良く感じなかったのだが、今では黒澤の唾液の匂いを嗅ぐと興奮してくるほどに慣らされてしまった。
名波の前髪を掻き上げ、額や瞼にも丹念に舌を這わせる。
鼻だけは舐めずにしゃぶりついてきた。
唇で何度か揉むように愛撫した後、ちゅっ、ちゅと吸い上げる。
最後に鼻の頭をペロッと一舐めすると、黒澤は名波のシャツに手をかけ胸の上まで一気に捲り上げた。
「何だよ。嫌がってた割にはお前も結構コーフンしてんじゃん」
「うるせっ…ん、あっ…」
悪態をつこうとしたが、硬くなってしまった胸の突起をグリグリと弄られて言葉に詰まる。
「ぷっくりしててウマそうだな。いただきますv」
「はぅっ…ア…」
胸の突起に軽く歯を立てられ、名波の体がベッドの上で軽く跳ねた。
両方の突起を舌先で転がすようにされたり、歯を立てられたりしている内に、名波の息遣いが荒くなってくる。
黒澤は名波の割れた腹を舐めつつへその方へと下降していった。
へその周辺をなぞっていた黒澤の舌先は、へその中に入っていきぐるぐると動き回る。
「うぅ…く…ん…」
へその中を舐めながら膨らんでいる股間を手の平で優しく撫でると、名波はくぐもった声を出しながら体を捩った。
このままでは苦しそうなので、ジッパーを下ろしてレザーパンツに手をかけ、下着ごと一気にずり下ろした。
明るい部屋の中で、名波の反り返った雄根が黒澤の目の前に曝け出される。
明るい場所でするのはよくある事だし、風呂もシュバルツ・カッツのメンバー全員で一緒に入る事が多いから、裸を見られる事にあまり抵抗はないが、それでもこんな状況では少し恥ずかしいのか名波の頬が更に赤く染まる。
黒澤は名波の足からズボンと下着を抜き取ると、熱くなった中心部がもっとよく見えるように内股を左右に押し広げた。
「なぁ…何で靴下は脱がせないんだ?」
ふと気になって、名波は黒澤に尋ねた。
「靴下履いたまんまの方が、何かエロいから」
「変態」
「お前にそういうエロスのツボは分かんねーだろうなぁ」
「分かりたくもねーよ。あ、そういやネコ耳付けたまんまだった」
頭にネコ耳カチューシャを付けたままなのを思い出し、外そうとするがその手を黒澤が掴んで止めた。
「それもそのままで」
「…お前ってホント変態」
「何とでも言え。お前だってこんなになってるクセに、俺の事とやかく言えんのかよ」
黒澤は名波の雄根を握ると、指の腹で透明の蜜が滲み出ている先端の切れ込みを擦るように撫でた。
「ひぁっ! や、止め…」
「ココ、濡れてんぞ」
名波の目をじっと見つめながら、黒澤はぬめりを帯びた指をペロ、と舐める。
その仕草が何だか酷く厭らしく感じて、新たに滲み出てきた蜜が名波の先端を濡らした。
真っ赤になりながら無言で顔を背けてしまった名波を見て黒澤はニヤリと笑うと、濡れて光る先端に顔を近付け、蜜をそっと舌で拭った。
先端だけを口に含み、口内で括れの部分を舌先でつーっとなぞる。
少し毛深くて、頭髪のようにもっさりしている繁みを手の平でもさもさと弄りながら、唇を窄めてゆっくりと根元まで咥え込んでいった。
そのまま黒澤は、名波の雄根を唇で扱くように頭を上下に動かした。
黒澤の頭が動く度に、ライオンの鬣のような髪が内股に擦れて、更なる快感を煽る。
名波は堪らず両手で黒澤の頭を鷲掴みにした。
それでも気にせず、黒澤は名波の雄根を唇で扱き続ける。
「黒さ…あっ…そんな激しくしたら…すぐイッちまう…んっ…」
「いいぜ。イケよ。ちゃんと全部飲んでやるから」
黒澤は咥えていた雄根を吐き出してそう言うと、挑発するような目で名波を見つめながら根元から先端までベロリと舐め上げた。
再び先端だけを口に含み、口内で舌を巧みに動かして愛撫しながら、名波の射精を促すように根元を軽く扱く。
「はぁぁぁっ…黒…さわぁ…も、ダメ…あぁぁぁ!」
寮生活であまり頻繁にオナニーもセックスも出来ず堪っていたのか、名波はすぐに達してしまった。
黒澤の頭を掴む両手に力が込められ、内股で黒澤の顔を挟んで締め付け、ブルブルと体を震わせながら大量の白濁液を口内に放つ。
口内に流れ込んでくる塊のような名波の白い精を、黒澤は少しずつ喉の奥に押し込んでいく。
射精の勢いが衰えると、根元を扱いて尿道に残った白濁液までちゃんと飲み込んでから、名波の雄根を口内から
解放した。
黒澤の髪の毛を握り締めていた名波の手がシーツの上に落ちる。
「溜まってたんだな。すげー濃いのがいっぱい出たぜ」
精液臭い息を吐きながら黒澤が名波の顔を覗き込むと、まだ絶頂の余韻に浸っているのか虚ろな目をしていた。
「放心しちまって…可愛いなぁ、オイv」
「あ、コラ…フェラしてすぐキスすんなっつってんだろ?」
口付けられ、自分の味を僅かだが感じて名波は慌てて黒澤の頭を引き剥がした。
「いいじゃねーか、ちょっとくらい。そんなに自分の味って嫌なモンか?」
「あんまりいいモンじゃないねぇ」
「ふーん、そういうモンかね。ま、いいか。次、俺の番なv」
「えっ!?」
黒澤は立ち上がると、名波の返事も聞かずいそいそとレザーパンツと下着を脱ぎ始める。
名波と同じように下半身だけ裸になるとベッドに仰向けに横たわり、恥ずかしげもなく足を広げ、名波をチラッと横目で見ながらそそり立つ雄根を二、三度軽く扱いてみせた。
「しょうがねぇなぁ…」
今イカせて貰ったし、仕方ないと思いつつ名波は横から黒澤の股間に顔を近付けると、両手で雄根の根元を握り、恐る恐る先端に舌を這わせた。
キツい雄特有の味と匂いを感じ、眉を顰める。
これだけは何度やっても未だに慣れずにいた。
ソフトクリームを舐めるみたいに、ペロ、ペロと側面にだけ舌を這わせる名波の口唇奉仕がもどかしくて、黒澤は名波の頭を掴むとグッと股間に押し付けた。
「おい名波、チ×ポってのはな、舐めるんじゃなくてしゃぶるんだよ」
「分かったよ…ったく、黒澤ってすげーワガママ」
嫌々ながらも、名波は黒澤の言う通りに雄根を口に含み、ちゅぱちゅぱとしゃぶり始めた。
文句を言いつつも言われた通りに口唇奉仕を再開してくれた名波が愛しくて、黒澤は名波の頭を優しく撫でる。
フェラチオは好きじゃなかったが、している最中に頭を撫でられたり髪を弄られるのは何となく気持ち良くて好きだった。
目を閉じて髪に黒澤の指が触れるのを感じながら、口内で蜜を滲ませている雄根にねっとりと舌を這わせる。
名波が動く度に黒くてもわもわの髪が微かに雄根に擦れ、何とも言えない興奮を覚える。
自分もあまりオナニーは出来ない状況にあったし、セックスは名波がなかなかさせてくれないので、限界はすぐに近付いてきた。
「な…なみ…口ん中、いい?」
「嫌っつってもムリヤリ口ん中で出す気だろ?」
「あ、バレた?」
「いいけど…セーエキは飲まねーからな」
念を押してからもう一度黒澤の雄根を口に含み、褐色の袋を手の平で撫で回しながら軽く頭を上下に動かした。
「ハッ…ハァ…」
少しずつ黒澤の息遣いが荒くなってくる。
早く終わらせたくて、名波は口内の雄根に一生懸命愛撫した。
先端の裏側を舌先でチロチロと舐めると、黒澤が息を飲む音が聞こえる。
そのままチュッ、チュウッと強く吸い上げると、その刺激が引き金になったのか、半開きになっていた黒澤の先端の切れ込みからびゅるっとゼリー状の雄の精が放出された。
「あぁーっ…名波、イクッ…うぅっ…ぅっ…」
黒澤が切なげな声をあげる度に雄根がドクン、ドクンと脈打ち、容赦なく名波の口内に大量の白濁液が流れ込む。
青臭いのを我慢して何とか黒澤の吐液を受け止めていた名波だったが、口内が吐液で満たされてくると、耐え切れず黒澤の雄根を吐き出して口を押さえた。
「お、おい名波、大丈夫か!?」
黒澤は慌ててティッシュを二、三枚取ると、今にも白濁液を吐き出しそうになっている名波に差し出した。
名波はティッシュをチラリと見ると、それを受け取らずに片手で黒澤の頭を掻き抱き、口付けた。
不意打ちに驚いている黒澤の唇を舌で割り、口内に溜めていた白濁液を全て口移しで飲ませる。
自分の味に一瞬眉を顰めたが、次から次へと名波の口内から流れ込んでくる白濁液を仕方なく全部喉の奥へと
流し込んだ。
「ふぅ…」
口の中の吐液全てを黒澤の口内へと移し終えると、名波は唇を離して溜め息をついた。
「どうよ? 自分の味は」
黒澤がゴクリと口の中に残った物全てを飲み込むのを見届けてから、名波はニヤニヤ笑いながら尋ねた。
「確かにあんまりいいモンじゃねーな」
「だろー…って、うわっ!?」
いきなり抱き寄せられ、名波は思わず黒澤の胸に顔を埋めてしまう。
「お前のだったら、いくらでも味わいたいけどな」
名波が顔を上げると、黒澤は優しい笑顔を浮かべながらそう言った。
「なっ、何クサい事言ってんだよ、バーカ」
黒澤の言葉が嬉しかったのに、素直になれず悪態を付いて口付ける。
名波が首に手を回してくると、黒澤も名波の腰に手を回して、二人でギュッと抱き締め合ったまましばらく啄むようなキスを何度も交わした。
「なぁ、名波」
「んー?」
「四つん這いになって」
「え…バックですんの?」
「ネコだったらやっぱ四つん這いだろ」
厭らしい笑みを浮かべながら、黒澤は名波のネコ耳を軽く撫でる。
「こんな明るいトコで四つん這いなんて恥ずいんだけど」
「そんな事言わないで頼むよ。今度鹿砦軒のタンメン奢るから」
「……大盛り?」
「ああ。大盛りタンメンな。俺の頼んだラーメンのチャーシューもやるから」
「うーん…しょうがねぇなぁ。約束だからな」
しばらく考えた後、大盛りタンメン+チャーシューが魅力的だったのか、名波は膝から下りておしりを黒澤の方へ向けて四つん這いになった。
「これでいいか?」
「もっとケツ上げろよ」
「マジで恥ずかしいんだけど…」
おしりを突き上げて足を少し開くと秘部に舐めるような視線を感じ、かぁっと体が熱くなる。
「名波の厭らしいトコ、全部見えてる。いい眺めだなv」
「男が男のこんなカッコ見て何が楽しいんだよ」
「男とか女とか関係ねーよ。お前だからソソるんだよ、名波」
「なっ…何言ってんだよバカ!」
「この丸っこいケツとか、堪んねーな、オイ」
いきなりおしりを撫でられ、名波はシーツを掴んで細く震えた。
黒澤は名波のおしりを撫でながら、膝から足の付け根まで一気に舐め上げる。
「ひゃうっ! あぁぁっ!!」
「ケツ、ぷるぷる震わせちゃって…ホント可愛いな、お前」
名波が逃げ出さないように足を掴むと、震えるおしりに舌を這わせ始めた。
「ふぁっ…や…止めっ…くすぐったい!」
円を描くようにしたり、上下に素早く舌を動かす度に名波が切なげな声をあげる。
「ホントにくすぐったいだけか?」
「そうだよっ…マジで止め…ふぅ…んん…」
唾液でベトベトになってしまったおしりを揉みしだかれると、自分の意に反して息遣いが荒くなってしまう。
「くすぐったいだけなら、何でこんなトコヒクつかせてんだよ」
愛撫を始めてから物欲しそうにヒクヒクと蠢いている秘部に親指を押し当てると、一瞬名波の体が硬直する。
黒澤は親指を押し当てたまま、指圧をするように秘部をゆっくりと指の腹で揉んだ。
そのまま両手で名波のおしりを掴むと、双丘も一緒に揉みしだきながら無防備になっている褐色の袋にしゃぶりついた。
「ひぃっ…あっあっ…やぁぁーっ…」
袋の中の二つの塊を舌先で転がすように愛撫され、思わず悲鳴のような声をあげてしまう。
秘部を揉んでいた親指を退かすと、今度は自分を楽に受け入れられるように、その薄茶色の窄まりにたっぷりと唾液を塗りつける。
舌先を尖らせ、突付くようにして少しずつ舌を秘部に挿入していく。
生温かくぬめぬめとしたなめくじのような舌で、秘部の入り口付近をくちゅくちゅと掻き回され腰砕けになりそうだった。
黒澤の丁寧な愛撫で名波の雄根はすっかり回復し、先端から滲み出た透明の蜜が重力に従ってポタリ、ポタリとシーツの上に垂れていた。
「何だよ…涎垂れ流す程コーフンしちまったのか?」
「くろさ…わ…頼む…俺、もう…」
先走りでヌルヌルになった先端を弄くり回され、耐え切れなくなった名波は黒澤に哀願した。
「いいぜ…俺もそろそろ我慢の限界…」
自分への愛撫で逞しさを取り戻した雄根をおしりに擦り付けられ、名波の期待が高まる。
「挿れるぞ…」
黒澤の雄根の先端が秘部に当てがわれ、そのまま狭い肉壁を押し広げるように熱い塊が名波の中に侵入してきた。
「くぅっ…ん…」
黒澤自身の熱さと大きさに、思わず息を飲む。
黒澤は名波に負担にならないように、少しずつゆっくりと自分の巨根を名波の中に押し込めていった。
何とか根元まで押し込めると、黒澤は控え目に腰を動かし始めた。
「あ…すご…あつ…い…あっ、あっ、あっ、あっ!!」
自分の中に黒澤が出入りするのを感じ取り、名波が甲高い声をあげる。
始めは両手でシーツをギュッと掴み与えられる衝撃に必死に耐えていたが、時間が経つ内に痛みや衝撃が快楽に変わってきたのか、名波も僅かだが自分のいいように腰を動かし始めた。
二人の肉と肉のぶつかり合う音が部屋中に反響する。
「く…名波、お前ちょっと締め過ぎ…」
「お前のがデカ過ぎんだよっ! 突っ込まれる方の身になってみろ!!」
「そんな事言って、デカいので掻き回されるのが好きなクセに。一生懸命腰振っちゃってさv」
「なっ…腰振ってなんか…ない…」
「ふーん…そういう事言うのか。素直じゃねーな。そんじゃ止めちまうか?」
貪るように腰を動かしていた黒澤は、突如突き放すように名波の中から自分の雄根をぬぽっと引き抜いた。
「あ…な、何でっ…」
抜かれると思っていなかった名波は慌てて振り向き、強請るような目で黒澤を見つめた。
「何でって? それはな…」
黒澤はニヤリと笑って名波の片足を掴むと、ぐいっと引っ張り名波の体を仰向けに返した。
「やっぱお前の感じてる顔見ながらしたいから!」
「い…痛っ…やぁぁーーー!!」
仰向けにされてすぐにまた巨根をずぷっと根元まで挿入され、名波が叫び声をあげる。
間髪入れずに黒澤は両手で名波の足を抱えると、壊れてしまうかと思う程激しく腰の前後運動を始めた。
「ヤダ…ァ、止めっ…くろ…さわっ…」
黒澤に突き上げられ、名波の体が上下にガクガクと揺すぶられる。
黒澤は腰を動かしながら器用に名波の靴下を脱がせると、足の指にしゃぶりついた。
「やぁっ…なんっ…で…そ、んな…事…」
突然足を舐められ、名波の表情が『信じられない』と言いたげなものに変わる。
「俺、ヤッてる最中にこうやって足舐めんの好きなんだよ。いつか名波の足も舐めてやりたいって思ってた…堪んねぇ…」
両足の指一本一本を順番にちゅぽちゅぽとしゃぶった後、指の股にも舌を這わせる。
まるで味わうように丁寧に指の股を舐められる度に、つま先から体中に何かゾクゾクしたものが駆け抜けていった。
足の指を舐めながらも黒澤の腰の動きは衰える事なく、名波に快楽を与え続ける。
名波の耳には黒澤が腰を打ちつける音と指をしゃぶる淫猥な音だけが届いていた。
「そっ…そんな…深くっ…入れら…れる…と…うっ…黒澤ぁ…」
薄らと涙を浮かべた名波がうわ言のように呟く。
そんな名波の唇に、そっと指で触れる。
「名前…名前呼べよ…なぁ…順」
ハッ、ハッと短く息を吐きながら名前を呼ばれ、思わず達してしまいそうになるのを何とか堪えた。
「…っあ…ん…りょ…凌?」
ちょっと困ったような顔で、疑問形で名前を呼ばれた事に妙に興奮してしまう。
「そう…うっ…もっと俺の名前呼んで…順、ほら…順…」
まるで名波を急かすかのように、黒澤の腰の動きが更に早くなる。
「凌…りょ…う…りょおっ…あーっ…」
自分でも驚くほどの甘ったるい声で、何度も黒澤の名を呼んだ。
自分の名を呼びながら顔を紅潮させて乱れる名波を見て、黒澤は満足そうな笑みを浮かべると軽く唇を重ねた。
「も、イク…りょお…」
そろそろ限界なのか、名波が強請るような声を出す。
「いいぜ…ほら、イッちまいな!」
「あっ、あ…ダメ! ヤダァ! イッちゃ…う…凌! 凌っ!! う…ぅぁ…イクゥゥゥッ!!」
黒澤が奥の方を強めに二、三度突いてやると、名波は両手でシーツを握り締め、体を弓形に仰け反らせながら一足先に達してしまった。
先端の切れ込みから放出された白濁液が名波の胸や腹を汚していく。
「ヤベ…俺もイキそ…」
本当は名波の中で達したいところだが、後始末の事を考えてぐっと堪えると、雄根の根元を強く掴んで引き抜き、狙いを名波の上下している腹に定めた。
「んっ…ハッ…あ…出る…順…くぅぅっ!!」
黒澤が低く呻くと同時に、白く濁ったシャワーが名波の腹に降り注ぐ。
「あ…熱い…」
黒澤の熱い迸りをその身で受け止めて、名波はまたブルブルッと体を震わせた。
名波の腹に想いの全てをブチまけた黒澤は、枕元に手を伸ばしてティッシュを何枚か鷲掴みにすると、射精を終えて力なく項垂れている雄根の汚れを拭き取った。
使ったティッシュをぐしゃぐしゃっと丸めてゴミ箱に放り投げると、今度は名波の体をキレイにする為に新しいティッシュを手に取った。
名波の白く汚れた部分を拭き取ろうとして、黒澤は思わず手を止めた。
黒澤と自分、二人分の吐液に塗れた名波は焦点の定まらない目で空を見つめながら、ビクビクと体を痙攣させていた。
その姿があまりにも淫靡で、黒澤は再び下腹部が熱を持ち始めたのを感じていた。

「もういい加減にしろよ、このバカーッ! 夕飯の時間終わっちまうだろうが!!」
「それなら抜け出して鹿砦軒にラーメン食いに行こうぜ。約束通り奢るから!」
「何回ヤレば気が済むんだよ! 大盛りタンメンじゃ割に合わねーって!!」
「だったら餃子もつけるから! だから…いいだろ? な? 名波ーv」
「そういう問題じゃねー! もう、いい加減止め…んっ…」
一回だけの約束のはずが、名波の厭らしい姿に興奮して暴走した黒澤がムリヤリ第二ラウンドに突入してしまった。
その第二ラウンドもついさっき終わり、ようやく夕食にありつけると胸を撫で下ろした名波だったが、黒澤がベッドから出してくれず遂に怒り爆発してしまったのだ。
しかし、どう頑張っても黒澤には勝てず、第三ラウンドに持ち込まれてしまう。
名波は黒澤の下でもがきながら、金輪際黒澤の前でネコ耳は付けないと心に誓うのだった。

+ + + + + +

初書き黒名いかがでしたでしょうか?(汗)
何かあらすじのトコでも書いた通り、黒澤がかなり変態になってしまいましたし、エッチの内容もちょっとフェチ入ってる感じですが…
黒名は私としては『漢らしいセックス』を目指して書いてみたんですよ。
だからって沼桐沼のセックスが女々しいとかそういう意味ではないんですが(汗)
『漢らしいセックス』を目指したのはいいけど、それ故に何だか恋人同士と言うよりはセフレみたいな雰囲気になってしまった…
一応両想いとして書いたんですが…自分の中でまだ黒猫内のカプとか固定してなくて、黒名の時は黒澤と名波が両想い、黒城の時は黒澤と城が両想い、みたいに別世界として分けて考えてます。
名波も、『漢らしい受』を目指して書いたのに、フィニッシュ辺りはかなり可愛い子ちゃんになってしまった…
可愛い受け子な名波でもOKですかね? 私はどちらでも美味しくいただけますが(笑)
冒頭で姿見の事を書いたので、読者さんの中には「もしかして、ヤッてる最中の姿を姿見で見ながらエッチするの?
ドキドキ…」と思った方もいらっしゃるかと思いますが、そのネタは桐沼でやりたかったのでここではやりませんでした。
寮って事で勝手に行事作っちゃったよ…
でも、鹿中って何かそういう地域ぐるみの行事とかやってそうなイメージがあったんで。
ハロウィン当日、黒猫の皆はちゃんと仮装したのか、そして名波はまた黒澤に喰われたのかは、読者さんのご想像にお任せします(笑)



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